「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」
圧倒的迫力&ユーモアで選考会に衝撃を与えた、第128回文學界新人賞受賞作にして。井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす。
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〈普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢です〉
『身体の歴史』によれば、20世紀初頭に「視線の犯罪化」によって見世物小屋は衰退し、入れ替わるようにハリウッドのクリーチャーが持て囃されるようになった。着ぐるみのワンクッションをおけば奇形の異様さを呵責も遠慮もなく目で楽しむことができるようになる。
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